原産地証明取得時の注意点(日本産品、一般)
(2020.11.17)
記事の概要
・輸出に関わる仕事をしていると要求される事のある「原産地証明」の手続きについて書いていきます。
・日本産品の一般の原産地証明の手続きについてです。
※EPA適用の特別原産地証明や外国産品については本記事では取り扱っておりませんので悪しからず。
1.はじめに
輸出に関わる仕事をしているとよく耳にする「原産地証明」(Country of Origin)。これまで取引先からそれを要求された際は自社フォーマットで非公式な形で提出しておりました。しかし、先日海外の取引先から、商工会議所発行の正式な原産地証明を要求されました。自身でその手続きを実際に経験してみて、なかなか大変だったので、何かの役に立てばと思い、備忘録的な意味も込めて記事にしるす次第です。
※調べればすぐに分かる事(料金とか商工会議所へのアクセスとか)や、基本的な事(インボイスに普通記載する事項)は端折りながらイレギュラーと思われる事だけを書き記します。
2.本記事の前提条件
原産地証明を申請する前に、本記事で前提となる条件は以下です。
・専用用紙の購入。
画像は白黒ですが、実物は緑がかった感じの色です。専用のWORDフォーマットを使用して、この用紙に印刷していく形になります。
・日本原産品である事。
※海外原産品だと必要資料が変わってくるので、本記事では取り扱いません。また、EPA適用などの特定原産地証明についても本記事では扱いません。
・(船便の場合)本船が決まっていて、ETDなどの予定が既に決まっている事。
・書類の日付は未来日はNG。
※こうなると、荷物の出荷日か、出荷後数日以内にに商工会議所へ申請に行くのが一番良いのかもしれません。
3.必要資料~3点セット
一般の原産地証明(日本産品)を申請する上で必要な3点セットは以下です。
(1)証明依頼書
※商工会議所にて記入できます。
(2)原産地証明書(オリジナル3部まで、コピー2部、商工会議所提出用コピー1部)
※合計すると最大6枚(うち1枚は提出用)となります。必要枚数分だけ申請。
(3)コマーシャルインボイス 1枚
※初めての方は、証明書の専用用紙(100枚 630円)を購入に最初に商工会議所へ行かれる際に、一緒に証明依頼書も持ち帰る事をおすすめします。
※以下画像は(1)の証明依頼書です。
・インボイス作成における注意事項(船便の場合特に注意!)
インボイス作成における注意事項を以下に記します。ここでは、インボイスに記載する一般的な事項は省略させて頂きます。
原産地証明の典拠資料は、本来はインボイス以外にも輸出申告書、船荷証券、商品製造者の製造証明書などが必要になるのですが、今回のケース(国内産品の一般原産地証明)ではインボイスのみでも申請できます。
<インボイス作成の際の注意事項>
(1)積み地(From)と向け地(To)の港名、本船名、出港日(ETD)を記載する。
※私の実際の経験で、「ETDの日付に幅がある場合(例えば1月1~2日ETD見込み)となっている場合、特定の1日(この場合1月1日)を書く事」と商工会議所の方から注意されました。
※ETD日付は西暦の年まで書きましょう。
※普通本船名までインボイスに書かないと思うので、私は最初この部分で失敗しました。
(2)製品の単位(PCS、UNIT、SET)をきちんと書く。
※更に、合計の欄は、それぞれ分けて書く様訂正依頼を受けたのでびっくりしました。例えばUNIT単位のものが合計10あれば、TOTALの欄に10 UNITS、PCS単位のものが合計20あれば、20 PCS…といった具合です。
(3)商品名は、製品の型番だけでなく、誰が見ても分かる一般的な名称で記載する。
※一般に知られていない機械製品等の場合注意が必要です。「原産地証明の原則は誰が見ても分かる資料である事」と、商工会議所の人から言われました…。
(4)「手数料」等の形の無いものは証明できないので、インボイスに載っているとしても原産地証明書には載せない。
4.資料が準備出来たら商工会議所に行って証明手続きを
上述の資料(3点セット)が準備出来たら商工会議所に行って証明手続きをしましょう。
東京商工会議所の場合は「証明センター」という所に手続きに行きます。東京の場合、午前10時までに受付を済ませた場合、問題が無ければ同日の13時に受け取りができます。1日で済むので効率が良いです。
5.さいごに
本記事では、日本産品の一般の原産地証明の手続きについて書き残しました。私自身手続きを経験して、失敗した体験談も盛り込みました。
問題が無ければ半日ちょっとで手続きが終わる事ですので、円滑に完了させたいものですね。本記事がお役に立てば幸いです。
おわり