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OSO18 怪物ヒグマ~ほんとうはかわいそうだった熊

(2023.10.22)

記事の概要

・北海道で家畜の牛が襲われる被害で話題になったヒグマのOSO18に関する記事です。
・2023年10月15日放送のNHKスペシャル「OSO18 ”怪物ヒグマ”最期の謎」の内容を中心に書き記します。
・OSO18の軌跡を時系列と概略地図を交えてまとめます。

 

 

1.はじめに~OSO18とは

2023年7月30日の朝、北海道オタクパウシで一頭のヒグマが猟銃で撃たれた。その熊は数年に渡って66頭もの畜産の牛を襲い、OSO18と恐れられた個体だった。極端に敏感で人間を避け、罠にも掛からない警戒心が異常に強いOSO18は、最期の時には衰弱した姿で無抵抗で、あまりにもあっけない終わりだった。

この記事では、肉食の怪物ヒグマと恐れられたOSO18についてまとめます。先日(2023年10月15日)放送のNHKスペシャル「OSO18 ”怪物ヒグマ”最期の謎」の内容を中心に書いていきます。

※参考 NHKスペシャル「OSO18 ”怪物ヒグマ”最期の謎」(2023年10月15日放送)

www.nhk.or.jp

また、OSO18の軌跡を時系列と概略地図を交えてまとめます。まずはOSO18の特徴を分かりやすくまとめます。

OSO18の特徴

・北海道東部に生息したヒグマ(オス)
・肉食を好み、畜産牛を大量に襲った
・最初の被害場所オソツベツと、前足の幅(18cm)からOSO18(オソジュウハチ)と名付けられ、恐れられた。
・別称:忍者グマ、怪物ヒグマ
・非常に強い警戒心。人前に姿を現す事はない。
・人間が仕掛けた罠を疑う猜疑心と、それを見破る賢さ。

2.OSO18の軌跡~時系列、概略地図、名前の由来

この章では怪物ヒグマと恐れられたOSO18の軌跡をまとめます。時系列で、ざっくりとではありますが地図も掲載して分かりやすく記します。

・2014年11月頃:生誕(推定)
(推測)幼少期の頃から最初の被害報告までの間に、エゾシカの亡骸などを食べ、肉食化に傾倒していったものと思われる(後述)。

・2019年7月16日:最初の被害報告
最初の被害報告はOSO18が推定4才の頃。場所は北海道川上郡標茶町オソツベツ。

とある牧場の1頭の乳牛が行方不明になる。捜索の結果、牧草地の脇の沢まで引きずられており、食いちぎられて息絶えていた。捜索したヒトが声を上げた所、遠くの藪からヒグマが飛び出して逃げていった。その後も立て続けに被害が発生する。

・2019年8月5日:畜産牛8頭の被害
・2019年8月6日:畜産牛4頭の被害
・2019年8月11日:畜産牛5頭の被害
・2020年:被害続く。

これらの現場に残った体毛、足跡は全て同じ個体のものだった事がDNA鑑定の結果分かった。最初の被害が起きた場所オソツベツと、幅18cmの大きな前足から、その個体のコードネームは「OSO18」と付けられた。

・2022年:襲撃場所が牛舎や民家に近づく

・2023年7月30日:オタクパウシにて猟銃で撃たれ他界
→その後解体業者に出される→ジビエ肉として流通

OSO18が最期に撃たれた場所オタクパウシ

狩猟時のOSO18

体長:2m10cm
体重:330kg
年齢:推定9歳6か月
体型:痩せて衰弱
前足:腫れあがっており、20cm幅に膨れていた

仕留めたハンターもまさかそのヒグマがOSO18だとは夢にも思わず、すぐに解体業者に出したそうです。ヒグマは通常20歳近くまで生きる為、年寄りという訳ではなかった様です。なぜ衰弱していたのか、どうして前足が腫れあがっていたのか等、謎が残ります。

NHKがOSO18の遺骨発見、独自取材

それと気づかれず、猟銃で撃たれジビエ肉として流通してしまったOSO18。後からそれがOSO18と分かった形になりましたが、今回のNHKスペシャルでは独自取材で解体業者の廃棄物を掘り返し、OSO18の遺骨を見つける事に成功しました。

この大変貴重な遺骨を分析し、貴重なデータを取る事が出来ました(後述)。NHKの体を張った執念の独自取材には称賛を送りたいです。

3.OSO18の遺骨分析データから分かった事

NHK取材班が発見したOSO18の貴重な遺骨は、福井県立大学の研究者に託され、骨の層で分析されました。その結果、OSO18の歩んだ歴史が垣間見える興味深いデータが取れたのです。

OSO18の食の遍歴を見ると、平均的なヒグマに比べて常に肉食傾向に偏っていたのです。初めての被害が報告される以前から、肉食に依存していっていたのだろうと推測させる結果です。
野生のヒグマは本来草食で、木の実や果実を食べて生きていける様に何十万年もかけて進化してきました。草や木の実は安定して食べられるので、生き延びていくには好都合です。しかし、人間が自然や生態系をコントロールする事で、ヒグマの野性味が奪われてしまったのではないでしょうか。縄張り争いやメスの取り合いに敗れてしまった個体が、狩猟禁止区域で生活し、駆除後に放置されたエゾシカを食べ続けたらどうなってしまうのでしょうか。研究者によると、OSO18は恐らくその様な環境下で、本来の草食に少しも傾かなかった異常個体で、野生とは全く異なる食習慣に育ってしまったのです。

エゾシカは一時は絶滅危惧種になり保護対象でしたが、一転して数が急増。農林業被害や事故が増えると頭数コントロールの為に駆除政策に転換されている。

4.さいごに~OSO18に思う事、感想

OSO18のニュースには個人的に当初あまり関心がありませんでしたが、今回見たNHKスペシャルには衝撃を受けました。本来草食傾向の強いヒグマが、人間が自然環境や生態系に手を出す事で野生と異なる食習慣で育ってしまうなんて、驚きと同時に悲しかったです。
OSO18は家畜の牛に多くの被害を及ぼし、恐ろしい存在ではありましたが、その原因が人間の環境コントロールにあったという事実は皮肉だなと思いました。対策を講じないと、これからも第2、第3のOSO18が生まれてしまうでしょう。
非常に警戒心が強く人前に姿を現さなかったOSO18でしたが、最期に撃たれた時は、何の警戒心もなく、ハンターが近付いても逃げずにいたそうです。そして解体された際OSO18の胃の中は空っぽで、年を取って体毛が薄くなって痩せた姿でした。
本来20年位生きられるヒグマが9歳でこの様な状態になってしまったのは、ヒグマ本来の食生活が出来なくなってしまったからではないかと思わずにはいられません。真実は分かりませんが、野生とは異なる肉食が身についてしまった事で、体に何か異変を起こして通常よりも早く衰えたのではと思うとかわいそうに思えてきます。

人間が作り変えた自然の中で、ヒグマ本来の野性味を失ってしまい、生きづらい一生を過ごしていたのではないかと思うと、罪悪感を覚えます。もし自分が北海道に行く事があったら、OSO18に想いを馳せ、天国ではのびのびと幸せに過ごしてほしいと祈りたいと思います。

記事を最後までお読み頂きありがとうございました。

おわり